田舎暮らしの中で、意外と多くの人が見落としがちな家事――それが「草刈り」です。
私の感覚では、移住前と後での認識ギャップが最も大きい作業のひとつ。
都会では雑草を意識する場面は少なく、田園風景の「原っぱ」も、どちらかといえば癒しの景色として映りますよね。
ところが、暮らしてみると一変します。雑草は日々の生活に確実に入り込み、景観や作物、生活動線にまで影響を与えます。
この記事では、私の経験を交えながら、草刈りの現実と向き合う方法、そしてできれば楽しむ工夫までをご紹介します。
草刈りが必要になる場所
暮らしの中で雑草対策が必要な場所は、大きく分けると次の4つです。
- 自宅の庭や家庭菜園
- 自宅そばの空き地
- 生活道路わき
- その他の公共空間(公園・河川敷など)
このうち①は当然「自分の責任」ですが、②~④も生活をしていれば無関係ではいられません。
1. 自宅の庭や家庭菜園の雑草
春先、小さな芽が出たかなと思っていたら、夏場にはものすごい勢いで雑草が繁茂します。
数日間雨が続いたあとに庭へ出ると、「いつの間にこんなに?」と思うほど背丈を伸ばし、家庭菜園の野菜があっという間に埋もれてしまうこともあります。
雑草は光と養分を奪い、野菜の成長を妨げるため、ピーク時には1〜2週間に一度は対策が必要です。
手作業で一つ一つ抜くのは正直きつく、続きません。そこで活躍するのが、立った姿勢で作業できる除草鍬や、広い庭なら電動草刈り機。
また、庭の一部では除草剤や防草シート+ウッドチップなどを組み合わせると、作業負担を減らしながら景観も保てます。
2. 自宅そばの空き地
一見、自分とは関係なさそうですが、放置された空き地は意外に生活に影響します。
不在地主の土地や代替わりで管理されなくなった場所は、夏になると人の背丈を超える草で覆われ、虫や害獣のすみかにもなりかねません。
ただし、勝手に刈るのはトラブルのもと。まずは近所の方に相談し、所有者と連絡を取るのが筋です。
所有者が対応できない場合でも、草刈りのために立ち入る許可だけはもらっておくと安心。
許可を得て刈ったあとの空き地は、風通しや見通しが良くなり、防犯や衛生面でも効果を実感できます。
3. 生活道路わき
歩道や路肩などの公共用地は自治体が管理してくれると思われがちですが、必ずしもそうではありません。
所有は自治体でも、実際には「利用者が共同で使う土地」という性格が強く、管理も地域住民に委ねられることが多いのです。
そのため、隣接する田畑の所有者が田畑の草刈りのついでに道路脇も刈ったり、自治会で作業日を設けて一斉に草刈りを行ったりします。
作業後は道の見通しが良くなり、歩行者や車の安全にもつながります。
「自分たちが使う場所は自分たちで守る」という当たり前の感覚が、こうした草刈りを支えています。
4. 公共空間(公園・河川敷など)
公園は利用者が多く、自治体の予算で定期的に整備されることが多いですが、河川敷や人通りの少ない場所は後回しにされがちです。
そうした場所の景観維持に欠かせないのが「景観ボランティア」の存在です。
地域の有志が集まり、年に数回の草刈りを実施。作業を進めるごとに、覆い尽くしていた草が減り、川面や景色が開けていく達成感は大きなものです。
自治体や県からわずかに助成が出る場合もありますが、基本は住民の善意と地域への愛着で成り立っています。
ただし、参加者の高齢化で活動が続けられなくなるケースもあり、今後の課題にもなっています。
草刈りとどう向き合うか
正直、「草刈りさえなければ…」と思う日もあります。
でも、放置すれば見た目も悪くなり、虫が増え、生活の質が下がるのは確実。
だからこそ、移住を考えている方には、あらかじめ草刈りと向き合う覚悟を持ってほしいと思います。
さらに言えば、「どうすれば少しでも楽しくできるか」を考えてみてください。
私なりの草刈りの楽しみ方
- 子どもと勝負!「どちらが多く抜けるかゲーム」にすると案外盛り上がる。
- 夫婦で雑談しながらのんびり作業。意外と良い運動にもなる。
- 近所の仲良し家族と共同で空き地の草刈りをして、終わったら毎年恒例のバーベキュー。
- 景観ボランティアで新しい知り合いを作る。打ち上げもお楽しみのひとつ。
草刈りは、やらされ仕事だとつらいだけ。でも、自分なりの「楽しむ理由」を見つければ、田舎暮らしの味わい深い一場面に変わります。
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