フルリモートで地方移住 ― リモート求人の探し方

タイトル:フルリモートで地方移住 移住後の仕事
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地方移住とフルリモート勤務 ― 田舎で暮らしながら都市部の会社で働く方法

「自然に囲まれた田舎で暮らしたい。でも、仕事はどうすればいいのだろう?」
地方移住を考える人が最初に直面するのが、この“仕事の問題”です。移住先の町や村に、自分のキャリアを活かせる職場が必ずあるとは限りません。

そこで注目されるのが フルリモート勤務。都市部の会社に所属しながら地方で生活するスタイルは、移住とキャリアの両立を実現できる大きな可能性を秘めています。

ただし、日本におけるフルリモートはまだ普及途上。ハフポスト(2024年)によると導入企業は全体のわずか1%程度、ガートナージャパンの調査でもリモート実施率はむしろ低下傾向にあるといいます。

つまり「地方に移住したいからフルリモートで働きたい」と考えるだけでは不十分。戦略的に求人を探し、自分のスキルをどうアピールするか が成功のカギになります。

この記事では、私自身の体験を交えながら、地方移住者がフルリモート勤務を実現するための方法と注意点を解説します。

私がフルリモート勤務にたどり着くまで【体験談】

地方移住後、私が最初に勤めたのは町役場でした。12年間、地域行政に携わり、やりがいの大きな日々を過ごしましたが、「もっと広い世界を見てみたい」という思いから転職サイトに登録したのが転機でした。

そこで出会ったのがリモートワークの可能性です。登録した履歴書を見たエージェントからコンサルティング会社を紹介され、いくつか応募した結果、内定をいただきました。求人票には「フルリモート」と記載されており大きな期待を抱いたのですが、実際には月の半分以上が県内クライアントへの訪問。在宅時間は少なく、むしろ地域の人との関わりが薄れてしまった感覚すらありました。

「やはり、もっと在宅中心で働きたい」――そう考えて再度転職活動を始め、ようやく今の会社に出会いました。現在は年間5〜6回の出張を除けばほぼ完全在宅。子育てや地域活動と両立しながら、田舎暮らしとフルリモート勤務の理想的な形を実現しています。

フルリモート求人の探し方 ― 転職サイトとスカウトの活用法

フルリモート勤務の求人を効率よく見つけるには、転職サイトを複数同時に利用することが欠かせません。私自身は「ビズリーチ」「リクルートエージェント」「ミドルの転職」「リクナビNEXT」などを併用しました。それぞれ得意分野や保有求人が異なるため、比較しながら活用することで選択肢が広がります。

転職活動の方法は大きく2つに分かれます。

① 求人情報から自分で応募する

最近は「リモートOK」で検索できる求人が増えてきました。しかし実際には、スキル要件とのマッチングが厳しく、応募しても書類選考で落ちるケースが多いのが現実です。だからこそ、ある程度“数を打つ”ことが重要になります。

② エージェントや企業からのスカウトを受ける

一方でスカウトは、効率的にチャンスを広げられる手段です。求人票では「出社必須」となっていても、面談で条件が柔軟に調整されることもあります。さらに、エージェントは非公開求人を持っているケースが多く、思わぬ優良案件につながることも少なくありません。

スカウトメールを「営業的な連絡」と感じてしまう人もいるでしょう。ですが裏を返せば、それは「あなたのスキルに可能性を感じているサイン」でもあります。仮に提示された案件が合わないと感じても、一度は連絡を取ってみる価値があります。

実際、私の場合も最初に紹介された求人よりも、後から提示された案件の方が希望条件に合致していました。つまり、スカウトをきっかけに思わぬキャリアの扉が開く可能性があるのです。

まとめると、「求人応募」と「スカウト活用」を両輪で進めることが、フルリモート勤務を探す最短ルートといえるでしょう。

スカウトを増やす履歴書・職務経歴書の書き方

スカウトを受けやすくするためには、履歴書や職務経歴書を「経歴の一覧表」ではなく「自分を伝えるストーリー」に変えることが大切です。私が意識したのは次の2点です。

① 肩書きに頼らず、具体的なエピソードで伝える

「部長」「マネージャー」といった肩書きだけでは、相手に伝わる情報はほとんどありません。企業の採用担当者が知りたいのは、あなたがどんな課題に直面し、どう解決し、どのような成果を出したかという部分です。

実際、自分の会社の「部長」がどんな仕事をしているのか、正確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。肩書きだけで人を理解するのは難しい――だからこそ、具体的なエピソードで自分を描写することがスカウトにつながります。

② キャリアの方向性を明確にしておく

もう一つ大切なのは、これからどの方向にキャリアを伸ばしていきたいのかをはっきりさせることです。企業は「この人がどの分野で成長し、会社にどう貢献できるか」を見ていますが、それは実は自分自身にとっても同じこと。

あなた自身、企業がどの分野で成長を目指しているかは、自分のキャリアを左右する大きな着目ポイントではないでしょうか。方向性が見えないまま働くのは、企業にとっても、そして自分自身にとっても不安定です。

この2点を押さえるだけで、スカウトの数は確実に変わります。実際、私は「転職予定なし」とプロフィールに記載していても、今も定期的にスカウトをいただいています。

企業の目線で考えることは、自分自身のキャリアを見つめ直すきっかけにもなる。 その視点を意識するだけで、書類はぐっと力強いものになります。

フルリモート求人ならではの難しさと対策

フルリモート勤務を探すときには、通常の転職活動とは違う独特のハードルがあります。

① 「リモートOK」求人の条件付きに注意

最近は「リモートOK」という表記が増えてきましたが、実際に条件をよく読むと「週2日は出社必須」「本社から2時間以内に居住」といった制約付きであることが多いのが実情です。
本当の意味でのフルリモート前提の求人はまだまだ少ないため、条件の裏側までしっかり確認することが欠かせません。

② 「移住したいからリモート希望」では弱い

もう一つの難しさは、リモート勤務が必要な理由をどう伝えるかです。
私自身「福島に住んでいるのでフルリモートが必須」という現実的な事情がありましたが、それでも面接では「東京で単身赴任は可能ですか?」「引っ越しは検討できますか?」と尋ねられることが少なくありませんでした。

実際のところ、“地方に住みたいから”という理由だけでリモート勤務を歓迎してくれる企業は、まだまだ多くありません。
そこで大切なのが、キャリアの延長線上でフルリモートが必要であることを説明することです。
例えば「これまでもオンライン主体で顧客を支援してきた経験があり、地域の実情を把握できる働き方で成果を出していきたい」といった形で伝えれば、単なる生活上の希望ではなく、企業の期待と結びつく理由として受け止めてもらえます。

③ 地方在住が“強み”になるケースもある

とはいえ、すべての企業が「地方在住=不利」と考えているわけではありません。
特に地域振興に積極的な企業の中には、『地方への転身』そのものを歓迎するケースもあります。現地での生活経験や地域コミュニティとの関わりが、企業にとって新しい価値を生み出すからです。

実際に私自身も、「地方に根を張って活動しているからこそ、ぜひ応募してほしい」と歓迎された経験があります。つまり、②では不利になりがちな「地方在住の事情」が、③ではむしろ大きなアピールポイントになることもあるのです。

行動のヒント ― 地域に基盤をつくる

こうした観点から、地方での基盤づくり自体をキャリアの一部にしてしまうという方法も有効です。たとえば地域おこし協力隊制度を活用すれば、地域での実績や人脈を積み重ねながら働く経験を得られます。これは、後々フルリモート求人に応募する際にも「地方で活動してきた」という強力なアピール材料になります。

まとめ ― 地方暮らしを支えるフルリモートという選択肢

フルリモート勤務の求人はまだまだ数が限られており、理想の仕事にたどり着くまでの道のりは決して平坦ではありません。
それでも、戦略を持って動けば十分に実現可能です。私自身、試行錯誤を重ねながらも「地方で暮らしつつ都市部の会社に所属する」というスタイルを確立できました。

地方移住を望む人にとって、フルリモートは単なる働き方の一つではなく、安心して暮らしを支える基盤になり得ます。大切なのは、キャリアの棚卸しを行い、履歴書や職務経歴書で自分の強みをきちんと伝え、求人やスカウトに積極的にアクセスしていくことです。

そして何より、「地方で暮らす自分だからこそ提供できる価値がある」と自信を持つこと。企業の視点だけでなく、自分自身の視点からもその価値を見つめ直すことで、移住生活とキャリアの両立は必ず道が開けていきます。

移住を考えている方にとって、フルリモートは挑戦する価値のある選択肢です。ぜひ自分の経験やスキルを武器に、地方での新しい暮らしを形にしてみてください。

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