地方に移住すると、都会ではなかなか見られない野生動物との出会いが日常に加わります。
「田舎は動物だらけ」と思われることもありますが、実際には毎日姿を現すわけではありません。多くは人の気配を避けて暮らしていますが、道路に残された足跡や夜に響く鳴き声、あるいは庭に残る痕跡から、確かにすぐ近くで生きているのを実感できます。

たかぱち
この記事では、私が移住先で日常的に出会っている動物たちを「よく姿を見かける動物」「存在を主張する動物」「声で癒してくれる動物」の3つに分けて紹介します。
よく姿を見かける動物たち
- タヌキ
車で移動していると道路を横切る姿に出会うことが多く、田舎道では非常に身近な存在です。人懐っこさはありませんが、夜の街灯の下でふっと現れる姿にはちょっとした驚きがあります。残念ながら、交通事故に遭った姿を見かけることも少なくなく、人と自然の境界が近いことを実感させられます。 - キジ
春から夏にかけての早朝、「ケーン」という大きな鳴き声が響き渡ります。声をたどって探してみると、草むらの中や田畑の縁に姿を見つけることも多く、意外と身近な鳥です。猟のために放鳥されていることもあるので、野生の鳥と人との関わりを考えるきっかけにもなります。 - サギ類(シラサギ・アオサギ)やカワウ
川辺や田んぼでよく見かける大型の鳥たち。シラサギは白い羽が田園風景に映え、絵になる存在ですが、アオサギはその大きさと鋭い目つきが少し怖い印象を与えることもあります。彼らはアユやフナなど川魚を狙う一方で、田んぼに降りてカエルや小さな生き物を捕食する姿も見られ、田舎の生態系を支える一員です。 - シジュウカラ
可愛らしい小鳥で、我が家の庭に設置した巣箱には毎年やってきます。1年に2~3回子育てを繰り返し、忙しそうに餌を運ぶ姿を眺めるのが季節の楽しみのひとつです。数年前に巣立ったヒナが戻ってきているのではないか…と家族で話すこともあり、移住生活の中で自然とのつながりを実感させてくれる存在です。 - ヘビ(アオダイショウ、シマヘビ、ヤマカガシ、マムシ)
田舎暮らしを始めると避けて通れないのがヘビとの遭遇です。家の周りでよく見かけるのはアオダイショウやシマヘビで、いずれも比較的おとなしい種類ですが、毒を持つヤマカガシやマムシが生息している地域でもあるため注意が必要です。最初は驚きますが、慣れると「また出たか」と笑えるようになってきます。
存在を強く主張してくる動物たち
- イノシシ
田んぼや畑を掘り返す被害は日常茶飯事で、農家にとって頭の痛い存在です。夜道で鉢合わせしたときは思わず身構えてしまいましたが、しばらくにらみ合った後に向こうから逃げていきました。農作物被害は深刻で、有害鳥獣として駆除されても数は減らず、田舎暮らしの課題を象徴する存在です。 - ハクビシン・アライグマ
果樹や畑の野菜を狙い、被害を残して立ち去る困り者。とても身軽で、木登りや屋根裏への侵入も簡単にこなすため、一度入り込まれると対策が大変です。外来種であるアライグマは特に被害が大きく、地域全体での対策が求められることもあります。 - テン・イタチ
滅多に姿を見せないためレアキャラ的存在ですが、糞などの痕跡から身近にいることがわかります。以前、側溝から顔を出したテンを見かけた時は、その愛らしさに思わず笑ってしまいました。被害らしい被害は今のところありませんが、鶏を飼っている家庭などでは注意が必要だと聞きます。
声で癒してくれる動物たち
- ウグイス
春になると一斉に鳴き始め、季節の訪れを感じさせてくれます。最初は「ホーホケキョ」がぎこちなく、聞いているこちらも「練習中かな」と思わず微笑んでしまうほど。その後、日ごとに鳴き方が上達していくのがわかり、自然の中でしか味わえない音の成長を楽しめます。 - カジカガエル
田んぼの合唱は都会では“騒音”と受け止められることもありますが、田舎では心地よいBGM。特にカジカガエルのコロコロとした鳴き声は清流を連想させ、夏の夜に耳を澄ませば心が落ち着きます。田舎暮らしの醍醐味は、こうした小さな自然音に癒されることにもあるのです。
田舎暮らしと野生動物の距離感
こうして挙げてみると、まだまだ紹介したい動物がたくさん思い浮かびます。それだけ田舎は自然と人間の生活圏が近い場所だということです。
野生動物との距離感は難しく、農作物被害や安全面のリスクもありますが、一方で彼らの存在が暮らしに豊かさを与えてくれるのも事実です。
移住を考えている方にとっては、こうした野生動物との出会いは「田舎ならではの刺激」であり、自然と共生する暮らしの魅力を実感する瞬間になるはずです。
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