「田舎暮らしに車は必須」と、よく言われます。
これから地方移住を考えている方にとって、頭では分かっていても、日常的に車を使っていない都市部の生活者にとっては、なかなか実感しづらいテーマかもしれません。
この記事では、都市部で「車=特別な乗り物」としてしか接してこなかった方に向けて、地方での車の役割や保有実態、そして現実的な維持費までを、なるべく分かりやすくまとめてみました。
「車が必要な地域」とはどういう場所か
人口の少ない中山間地域では、病院、スーパー、学校といった生活インフラが点在しており、徒歩や自転車で完結する暮らしには限界があります。公共交通も極めて限定的で、バスは1日数本、電車は1時間に1本といったケースも珍しくありません。
その意味でも、田舎における「自動車」とは、都市部における「電車やバス」と同じような感覚で、「日常的に使う交通手段」なのです。
都市部の車利用と、田舎の車利用はまったくの別物
都市部で車を使うとなると、いくつものハードルがあります。
- 混雑:幹線道路は常に渋滞、信号も多く、1km進むのに何分もかかることも
- 道が複雑:一方通行や狭い路地が多く、ナビがないと心配
- 駐車場事情が悪い:目的地の近くに停められるとは限らず、料金も高い
このような環境では、車は“便利なようで実は不便”な存在になりがちです。
一方、田舎ではどうでしょうか。
- 渋滞ほぼなし:地方都市を除けば、信号すら少ない。直進10km以上もざら
- 道がシンプル:主要道路は国道や県道で構成されていて、土地勘も掴みやすい
- 駐車場が広い:スーパーもコンビニも余裕のある駐車場が基本
このように都会の使い勝手とは全く違います。移動手段として考えたとき、公共交通機関よりも圧倒的に便利なツールとして活躍してくれます。(特に買い物における車の便利さは格別です。別記事で少し触れていますので、是非読んでみてください。)
車の保有台数は「1人1台」が当たり前
地方では、家庭に1台どころか、1人1台が基本。
特に通勤がある場合は、夫婦で2台というケースが一般的です。同居家族が増えてきたり、子供が通学・通勤に使うようになれば、3台目・4台目も必要になります。
また、農作業や雪道対応など、生活スタイルに応じて軽トラやトラックを保有する家庭も多く見られます。
用途別に見た車の選び方
移住後の暮らしに合わせて、どんな車が合っているのかを考えてみましょう。
■ 通勤・買い物用
軽自動車やコンパクトカーが人気です。
狭い路地や駐車場でも扱いやすく、燃費も良好。地域密着の毎日にはピッタリの存在です。
■ 長距離移動用
移住者には“帰省”がつきもの。荷物も多く、子ども連れならミニバンやステーションワゴンが安心。
アルファードやセレナのような大型ミニバンも、子育て世代には定番です。
■ レジャー・アウトドア用
釣り、登山、スキー、キャンプ……田舎の遊びは悪路とセット。
SUVやクロカン4WD(ジムニーやデリカなど)は頼れる一台です。
■ スポ少・部活送迎用
子どもの活動に付き添う機会が多いなら、ワンボックスカーや8人乗りの大型車が便利。
日常的にハイエースで送迎する保護者もそれほど珍しい存在ではありません。
気になる維持費は?車にかかるコストの現実
田舎での生活費は安い、と言われますが、車にかかる費用はしっかり見ておく必要があります。
項目 | 内容・金額の目安 |
---|---|
自動車税 | 軽自動車:約1万円/年、普通車:排気量に応じて〜約5万円/年 |
自動車保険(任意) | 年間約3万〜10万円(等級・年齢・車種による) |
車検代 | 軽:5〜8万円/2年、普通車:10万円以上/2年 重量税+整備費となるため、車の状態によっては上振れも。 |
燃料費 | 年間1万km走行で約10万〜15万円(燃費・ガソリン代により大きく変動。) |
定期メンテナンス | オイル交換、タイヤ交換などで年間3〜5万円 |
その他 | スタッドレスタイヤ購入・保管(雪国の場合)、駐車場代(都市部寄りでは必要)/このあたりが結構高額になります。 |
▶ 合計:おおよそ 年間25〜40万円/1台
仮に夫婦で2台持ちとすれば、年間50〜80万円前後は必要になる計算です。
勿論、通勤にかかる費用などは助成がある場合が多いため、すべてが持ち出しというわけではありません。なお、車購入費という大きな出費があることはお忘れなく。
都市部でも「交通費」はかかっている?
では、都市部で車を持たずに生活している人は、移動にどれくらいお金をかけているのでしょうか。以下は一例です。
■ 都市部でかかる主な交通費(年間)
項目 | 金額の目安 |
---|---|
通勤定期代(月1.5万円) | 年間18万円 |
週末レジャーの交通費(電車/高速バス) | 年間5〜10万円(帰省・観光含む) |
タクシー・バス利用など | 年間1〜3万円 |
家族での移動(レンタカー等) | 年間3〜6万円(帰省・買い物・行事など) |
▶ 合計:おおよそ 年間27〜37万円
独身・単身世帯なら20万円台で済むケースもありますが、家族がいる場合やアクティブな生活をしている方は30万円以上かかっていることも珍しくないかもしれませんね。(それこそ生活スタイルによって全く異なると思いますが。)
まとめ|田舎暮らしに“車文化”を組み込もう
いかがでしたか?
田舎暮らし=車生活という現実の一端を、少しでもイメージできたなら幸いです。
田舎は生活費が安いと言われますが、自動車の維持費など都市部ではあまり意識しないコストがかかるという面もあります。そのギャップを事前に理解し、上手に付き合っていくことで、ストレスの少ない移住生活が実現します。
ただ、一方で「車がないと生活できない」ことは、逆に言えば、「車があればどこでも自由に行ける」ということでもあり、都市部では味わえない快適さもあります。
ぜひ、田舎ならではの快適なカーライフを楽しんでくださいね。
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