地域おこし協力隊ってどんな制度?|募集から採用まで

地域おこし協力隊 移住後の仕事
地域おこし協力隊
記事内に広告が含まれています。
たかぱち
たかぱち

地方移住を考える方にとって、「地域おこし協力隊」という言葉は、もはや耳なじみのある存在ではないでしょうか。実際に各地で募集イベントも開かれており、移住や地域活動の入り口として注目されています。

確かに最近、ニュースやSNSでも耳にする機会が増えた気がするんだけど、ネガティブな話題も耳にするよね。実際のところはどうなんだろう?

たかぱち
たかぱち

気になりますよね。
この記事では、役場職員として協力隊の受け入れにも関わった筆者の立場から、地域おこし協力隊の制度概要とその特徴について、少し踏み込んだ視点からご紹介していきたいと思います。

こんな人におすすめ
  • 地域おこし協力隊への参加を検討していて、制度の全体像を把握したい人
  • 協力隊制度そのものを理解し、地域活性化や移住に関心を持っている人
  • 将来的に協力隊と関わる可能性があり、「自分に合う制度かどうか」を見極めたい人
この記事でわかること
  • 地域おこし協力隊の仕組み・制度内容・活動の全体像
  • 実際の働き方の幅や、制度を活かす際の注意点
  • 任期終了後のキャリアや、暮らしにどうつながるかのイメージ

地域おこし協力隊って、そもそもどんな制度?

改めて制度の概要を確認しておきましょう。

地域おこし協力隊とは、都市部から地方へ住民票を移した人が、「地域協力活動」に従事しながら定住・定着を目指す仕組みです。
協力活動の内容は、たとえば地元産品のブランディングや、地域行事の企画運営、農業支援、観光資源の磨き上げなど多岐にわたります。

制度がスタートしたのは平成21年度。いまや全国で7,000人を超える協力隊員が、1,100以上の自治体で活動しており、地域にとってはなくてはならない制度になりつつあります。

活動費は自治体の予算でまかなわれますが、その費用は国から特別交付税として補填される仕組みになっており、年間最大520万円(うち給与部分は320万円、活動費200万円)が上限とされています。
活動費というのは、住居費、車両費、パソコン購入費などに充てることが出来るお金で、自治体予算として措置されています。

制度設計は基本的に各自治体の裁量に委ねられているため、自治体によって活動内容や待遇、運用方針に差があるのも特徴のひとつです。

詳しくは総務省の公式情報もあわせてご確認ください:
🔗 総務省|地域おこし協力隊の概要

たかぱち
たかぱち

制度設計が各自治体の裁量に委ねられているというのがポイントです。
各自治体のカラーが打ち出せる制度である一方、担当者次第で骨抜き運用になってしまう可能性もあるということです。


着任者の目線で見る地域おこし協力隊の特徴

制度的な概要はわかったけど、いかにも役場の文書という感じで、いまいちイメージがつかめないんだよね。結局、協力隊の待遇ってどうなっているの?

たかぱち
たかぱち

確かにそうですね。実際に“着任する側”の視点からイメージを持つことも大切です。主な特徴を以下にまとめてみました。

役場経由で給与(+賞与)が支給される(月額約20万円前後/年額320万円)
副業が可能な自治体も増加中(総務省も推奨)
住居を無償提供してもらえるケースが多い(活動費により措置)
活動費は役場予算で確保してもらえる
任期は原則1〜3年(1年ごとの更新制が主流)
地域協力活動の内容はかなり柔軟
任期終了後の定住が期待されているが義務ではない

給与だけでなく、家賃補助がある場合もあるんだね。
活動費も措置される上、副業まで可能というのは、条件としては決して悪くないんだね。

たかぱち
たかぱち

決して高い給与ではありませんが、活動内容の自由度が高いことも併せて考えると、若い人にとっては、十分選択肢になる条件だと思います。


地域おこし協力隊の”応募”から“卒業”までの流れ

より具体的なイメージを持っていただくために、典型的なケースで、応募から着任、卒業までの流れを見てみましょう。

▶ 募集イベント参加・応募〜着任まで

まずは、地域おこし協力隊の募集案件を探すことから始まります。

地域おこし協力隊の募集は、「JOIN」などのポータルサイト自治体のホームページなどに掲載されています。
都道府県単位で色々な市町村が合同で募集イベントを行っていることも多いので、気になるイベントがあれば積極的に参加してみることをお勧めします。

興味のある募集を見つけたら、履歴書や志望動機書などを自治体に提出しましょう。
内容に疑問点がある場合などは、直接、メールなどで質問してみるのも良いと思います。事前の説明会がある場合もあるので、積極的に参加しましょう。

選考方法は、市町村ごとに異なるので一概には言えませんが、書類選考、面接試験を経て採用が決まる場合が多いようです。

協力隊の身分は、多くの場合、「地方公務員の特別職」または「会計年度任用職員」となっており、地方公務員として活動することになります。
ただし中には「業務委託契約」として活動するケースもあり、その場合に位置事業主として扱われることになり、その場合は地方公務員としての身分保障はありません。

応募前に、着任後の身分や契約条件をしっかり確認しておくことをおすすめします。

たかぱち
たかぱち

地域おこし協力隊募集案件を探すのにお勧めのサイトを載せておきますね。このほか、気になる自治体のHPを直接調べてみるのもお勧めです。
まだ迷っている人は、是非、各種イベントに参加してみてください。

JOIN(ふるさと回帰・移住交流推進機構)HP
SMOUT
日本仕事百貨


▶ 採用決定〜着任準備

採用が決定したら、さっそく着任に向けた準備が必要となります。
何より優先したいのが、転居に向けた準備です。協力隊の仕組み上、着任市町村への住民票の異動が義務付けられていますので、最優先で取り掛かりましょう。

住民票の異動手続き

STEP1:転出届を出す
引っ越し前の市区町村役場で「転出届」を提出し、「転出証明書」を受け取ります。

STEP2:転入届を出す
引っ越し先の市区町村役場で「転入届」を提出します。この時「転出証明書」が必要となりますので、STEP1を先に済ませておきましょう。(新住所に住み始めてから14日以内に手続きする必要があります。)

STEP3:関連手続きを行う
国民健康保険、国民年金、児童手当などの手続きが必要になる場合があります。
必要な手続きについては、窓口に案内がある場合もありますが、STEP1やSTEP2のタイミングでしっかり確認しておくようにすると良いですよ。

住居を用意している市町村が多いので、担当者に新住所をあらかじめ確認しておきましょう。

そのほか、以下のような準備も進めておくこともお勧めします。

  • 免許の取得/副業に役立つスキルの習得
  • 着任市町村に関する下調べ/現地訪問
  • 3年間の活動計画の作成
たかぱち
たかぱち

免許の取得やスキルの習得は出来るだけ早めに取り組むことをお勧めします。活動内容に大きな差が生まれます
特にWEB関連のスキルは、地方ではまだまだ重宝されますので、着任時までに基本的な部分だけでも身に着けておくと良いかも。

▶ 業務開始時の注意点

晴れて着任となった後は、地域協力活動の方針や具体的な業務内容の説明を受けたうえで活動が始まります。
このとき注意したいのが、「地域協力活動の柔軟さ」「公務員としての立場」のバランスです。

たとえば、副業OK・時間の自由度ありといった制度設計をしている自治体も増えていますが、住民はそこまで制度を詳しく理解していないこともあります。
「公務員なのに、あの人は何をやっているの?」という目で見られることもあるため、最初に勤務上のルールをしっかりと確認しておきましょう。

たかぱち
たかぱち

地域の人たちは、「地域おこし協力隊=公務員」という認識を持っています。そのため、悪気はなくても協力隊に「公務員的な振る舞い」を求めてしまう場合があります。
協力隊の魅力である「自由な働き方」を理解して貰うためにも、守るべきルールはしっかり守るようにしましょう。

▶ 活動中の過ごし方

協力隊の勤務体系は、本当に様々です。
勤務場所にしても、役場内にデスクがある場合や、地域内に拠点が用意される場合など色々なパターンがありますので、まずはしっかりと話を聞いておきましょう。
場合によっては、より良い方法などを提案するのも良いかもしれません。

フリーミッションなどの形で、放任型の運営をとる自治体もまだまだ多いと思いますが、担当職員とは自ら積極的にコミュニケーションを取る姿勢が大切です
担当職員との間に距離ができてしまうと、何かとやりづらくなる場面が発生します。常に自分が何をしているのか、何をしたいのかをはっきり伝えていきましょう。(活動費もありますので、お金の話も遠慮せず。)

勤務時間は役場の規則等で決まってくると思いますが、土日にイベントがある場合なども多いため、比較的フレキシブルな働き方が出来る仕組みになっていると思います。
基本的には残業は想定されていないため、勤務時間以外は自由に使うことが出来ます。この時間を活用して、副業として地域住民の農作業を手伝ったり、卒業後を見据えた事業づくりに取り組んだりする隊員もいます

たかぱち
たかぱち

3年間はあっという間です。
卒業後を見据えて、副業スキル習得事業づくりに取り組むことは非常に大切です。担当者とも卒業後を見据えた話をしっかりと進めておきたいですね。

広告バナー
協力隊の活動費をうまく活用するためにも、こちらの記事も参照してください。

▶ “卒業”に向けた準備

最長3年間の任期を終えると、いよいよ”卒業”です。
卒業後の進路には様々ありますが、JOIN調べによると約4割強が起業や独立約4割弱が地元企業等への就業となっているようです。そのほか、就農や事業承継、中には転出してしまうパターンもあります。

「3年間もあればゆっくり考えられる」と思われがちですが、実際には「あっという間だった」という声がほとんどです。だからこそ、着任時点から“卒業後のビジョン”を持って動き始めることがカギになります。

なお、多くの自治体では、起業支援空き家活用創業補助などを用意しており、これらを上手に活用することが、定住への第一歩となります。早いうちから、担当職員とコミュニケーションをとっていきましょう。

(参考:JOIN 地域おこし協力隊制度について)
🔗 https://www.iju-join.jp/chiikiokoshi/about.html

最後に:制度としての魅力と、上手な“距離感”

制度の仕組みを知ってみると、収入が確保されたうえで、地域でチャレンジができる魅力的な制度だなという気がしてきたよ。
実際に応募を検討する上で、注意点などはあるのかな?

たかぱち
たかぱち

そうですね。制度としては魅力的なのですが、やはり注意すべき点はあります。私の経験上、以下の3点についてはあらかじめ認識しておいた方が良いと思いますね。

  • 活動内容が抽象的な場合に、関係者の期待値がずれていることがある
  • 制度が柔軟すぎて“自分で方向性を決めなければならない”プレッシャーがある
  • 制度上は手厚くても、必ずしも全ての自治体がうまく使いこなせているわけではない

こうした事情からも、私はこの制度を「万能な移住の手段」として推すつもりはありません。
でも、自分の目的やスタイルに合ってさえいれば、非常に良い“選択肢の一つ”になると思っています。

興味のある方は、まずはJOINや各自治体が開催するイベントに参加してみることをお勧めします。そこで担当者ともお話をしながら、少しずつイメージを膨らませていくと良いですよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました