フルリモート勤務ってどんな働き方?
フルリモート勤務とは、出社を前提とせず、自宅など好きな場所で仕事を完結させる働き方のことです。在宅勤務の一形態ですが、ハイブリッド勤務(週に数日出社)とは異なり、原則的に「オフィスに通わない」点が大きな特徴です。
カオナビHRテクノロジー総研の調査によると、2024年度のリモート勤務実施率は17.0%とのことですが、これはハイブリット勤務も含めた数字であり、フルリモート勤務に限るとその実施率は5.4%まで下がります。
まだまだ、一般的な働き方とは言えませんが、「出社不要」の働き方の実態が気になっている人も多いのではないでしょうか。

私自身、田舎暮らしをしながら、ESGコンサルタントとしてフルリモート勤務を続けています。ここでは私の一日をのぞき見してもらいつつ、フルリモートのメリットと課題をお伝えします。
【日常ルーティン】コンサルタントのある一日
朝の時間
朝5時半に起床。外の空気は澄んでいて、夏でもひんやりしています。そこからランニングを5kmほど。田舎は夜の気温が下がるため、今年の猛暑でも、朝6時半ごろまではランニング可能な気温に落ち着いています。毎朝すれ違う近所の人たちとあいさつを交わしながら体調管理に努めています。
帰宅後はシャワーを浴び、子どもたちと朝食。7時15分にはテレビの前に集合し、NHKの朝ドラを2本はしご。これが我が家の習慣です。30分ほど仮眠をとったら「朝活」の時間。庭で野菜を収穫したり、PCでニュースをチェックしたり自由な時間を過ごします。
最後はコーヒー片手に仕事部屋へ。出勤時間は20秒、これで仕事モードに切り替わります。
業務の流れ
9時、オンラインで全社朝礼がスタート。同僚の勤務予定なども確認しながら、その日、一日の業務予定をざっくり確認。業務内容は日によって全く異なりますが、おおむね一日1~2本の社内外ミーティングと個人ワーク。
在宅なので服装は基本自由ですが、クライアントとのミーティングの際は、カメラに映る部分だけはしっかりと整えます。
ミーティング以外の時間は個人ワーク。パワーポイントでの提案資料作成や、エクセルを使った分析作業が中心ですが、その合間にメールやチャットで小さなタスクが飛び込んできます。
なかなか朝礼時の想定通りには仕事が進みませんが、オンラインタスク管理ツールの発達もあって、出社時代よりもタスクコントロールは断然、やりやすくなった気がしています。
仕事後の時間
18時になれば業務終了。多少の残業が生じることもありますが、通勤時間がない分、家族一緒の夕食時間に間に合う場合が多いです。そのせいか、最近はテレビを観る習慣がついてきたようで、ゴールデンタイムの番組にやたら詳しくなりました。
その一方で、同僚と仕事帰りに「一杯行こうか」となることは皆無となります。
その分、消防団の活動であったり、ランニング仲間との練習など、他の人と関わる予定は大切にして、積極的に参加するようにしています。
フルリモート勤務のメリット
実際に体験して感じるのは、やはり「自由度の高さ」です。
- 通勤時間ゼロの恩恵
朝のランニングや野菜収穫など、自分の生活に“ゆとりの時間”を差し込めます。
元々、田舎の生活は、都会に比べると通勤時間が短くなりがちですが、やはり「ゼロ」のインパクトは大きいです。
出勤後も、コーヒーを淹れたり、間食を取りに降りたり、自宅スペースとの往復が容易であるという環境は在宅ならではのメリットでしょう。 - 家族との時間が濃くなる
朝食や夕食を家族全員で囲むことは勿論、仕事中でも子供たちが学校から帰ってきた雰囲気などを感じることが出来ますし、仕事合間のちょっとした休憩時間に言葉を交わすこともしばしば。夏休みなどは、昼食を作る役割まで回ってきますが、家族との時間は確実に増えます。 - お小遣いが減らない
昼食は勿論、コーヒーやおやつも自宅で調達する形になりますので、基本、お小遣いを使う機会がなくなります。その分、しっかりためて、休みの日にちょっとした贅沢に充てるというメリハリの利いた使い方が出来るようなります。
フルリモート勤務の課題
一方で、理想の裏には課題も潜んでいます。
- 同僚との何気ないコミュニケーションの欠如
チャットや会議などで同僚とコミュニケーションをとる機会はありますが、やはり仕事がらみのコミュニケーションが中心となります。出社勤務では自然発生していた「何気ない雑談」がなくなると、案外、生活リズムにメリハリがつきませんし、精神的な負担になることもしばしば。 - 運動不足のリスク
フルリモート勤務を始めた頃は、気付くと一週間外に出ていないということもザラありました。体重も増加傾向となり、いかに毎日の出勤が貴重な運動源になっていたかを気付かされました。
これではまずいと思って始めたのが、毎朝のランニング。意識的に運動をする習慣は大切です。 - キャリア形成の難しさ
自分自身は、出社勤務で仕事を学んだ上でのフルリモートなので、そこまで影響はありませんでしたが、若手や新入社員にとって、キャリアを形成する場として十分だろうかと感じることはしばしばあります。
周囲の同僚、先輩の仕事を”雰囲気”として感じる機会がないため、学ぶ機会を随分逸しているような気がしてなりません。
課題を克服する工夫
私が試行錯誤して見つけたのは、次のような工夫です。
- “朝活”で生活リズムを作る
出勤時間がないからと、始業時間までダラダラ過ごすのはお勧めしません。ランニングや家庭菜園など、身体を動かす機会を含めた「朝活」の時間を、朝のルーティンとして確立しておくことは、想像以上に大切なことです。 - 意識的なコミュニケーション機会の創出
同僚とのコミュニケーションは意識的に増やすことをお勧めします。ついつい、手軽に連絡出来るチャットに頼りがちになりますが、意識的にオンラインミーティングを設定し、”声に出してしゃべる機会”を作っておくことをお勧めします。出来れば、2~3分、雑談を挟めるような関係性を作っておくことは大切ですよ。 - 社外・地域内コミュニティの活用
在宅勤務は確実に、家族以外のコミュニティとの関係性を希薄にします。意識的に地域のコミュニティとの関わり持っておくことも大切です。場合によっては、オンラインコミュニティを活用しても良いかもしれませんね。仕事以外の社会との接点を用意しておくことは、心のバランスを取るのに欠かせません。
まとめ:フルリモート勤務は「自分との対話」
フルリモート勤務は、時間の自由と効率をもたらす一方で、孤独感や運動不足といった現実的な課題を抱えます。
だからこそ、この働き方に合うかどうかは「自分の性格や生活スタイル」に大きく左右されます。
向いている人
- 自己管理が得意で、誰に管理されなくても一定のリズムを保てる人
- 生活空間と仕事空間を切り替える工夫ができる人(専用の仕事部屋を持つ、時間を区切るなど)
- 一人で集中して作業するのが好きで、黙々とタスクを進めることにやりがいを感じられる人
- コミュニケーション不足を補うために、自ら声をかけたり外部のコミュニティに参加する積極性がある人
向いていない人
- 誰かと一緒に働くことでモチベーションが上がるタイプの人
- ちょっとした雑談や偶発的な会話がないと気持ちの切り替えができない人
- 自己管理が苦手で、ダラダラしてしまいがちな人
- キャリア初期で、先輩や同僚の働き方を間近で学びたい人
田舎でフルリモート勤務を続ける私の場合は、自然や地域活動を味方につけることで、心地よいワークライフを実現できています。
これから挑戦する方も、良さと課題の両面を知ったうえで、自分の性格や暮らしに合うかどうかを見極めながら、フルリモート勤務を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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