「田舎で暮らすって、買い物どうするの?」
地方移住を考えている方から、よくこんな声を聞きます。
確かに、都会ではコンビニもスーパーもドラッグストアも徒歩圏内にひしめいていて、「とりあえず出かければ何とかなる」安心感がありますよね。でも田舎では、その当たり前が当たり前ではなくなります。
とはいえ、田舎の買い物事情って本当にそんなに不便なんでしょうか?
今回は、私が中山間地域で暮らしてきた実体験をもとに、田舎ならではの買い物事情を少し詳しくご紹介したいと思います。
地域によって全然違う「買い物事情」
まず最初にお伝えしておきたいのは、「田舎」とひとことで言っても、その中身は実にさまざまだということです。
地方都市と中山間地域では、店の数も種類もまったく違いますし、車の有無や交通手段によっても利便性は大きく変わります。この記事では、私が暮らす“中山間地域”のケースをベースにご紹介しますので、ある意味で「都会とは真逆」の暮らし方と思っていただければと思います。
おそらく、多くの地方移住希望者の移住先は、このケースと都会の中間あたりに位置するのではないでしょうか。
私の買い物スタイルは3つに分類されます
田舎での暮らしの中で、買い物は次の3パターンに分かれています。
- 日常の買い物:スーパーやコンビニ、地元商店での買い物・食事
- 大きめな買い物:量販店やチェーン店への買い出し
- 特別な買い物:地方都市のショッピングセンターなどでの買い物
それぞれ、生活のリズムや頻度も異なりますので、順にご紹介します。
① 日常の買い物は「近くて遠い」が基本
いちばん頻度が高いのが、食材や日用品といった日常的な買い物です。
私の住む地域でも、車で5~15分圏内にスーパーやコンビニはあります。都会に比べると“徒歩圏”ではありませんが、車がある前提で言えば、時間的な不便さはそれほど感じません。
ただし、品ぞろえは都会と比べるとやっぱり少なめ。加えて、値段もやや高めの傾向があります。特に都会の激安スーパーと比べると、価格差を感じることもあります。
でもその一方で、地元の魚屋さんや肉屋さん、パン屋さんといった専門店では、価格は高めでも本当に美味しいものが手に入ります。都会のチェーン店ではなかなか味わえない“本物の味”に出会えるのが、田舎ならではの魅力です。
ちなみに、野菜の直売所は例外的に安くて新鮮。農家さんが朝採れを並べていることもあり、都市部では考えられないような値段で手に入ります。
② まとめ買い+ウィンドウショッピングは「ちょっとしたお出かけ」
次に、「日常よりちょっと大きめの買い物」。例えば家電、日用品のまとめ買い、洋服などですね。こうした買い物は、車で20~40分ほどの場所にある量販店や郊外型ショッピング施設を目指します。
このくらいの距離になると、「今日は買い出しに行くぞ」と日程を決めて出かけるパターンが多く、ちょっとしたお出かけイベントになります。子どもたちを連れて行けば、家族でウィンドウショッピングも楽しめます。
ただ、飲食店の選択肢はかなり限られています。たとえば私の家の近くでは、車で行けるチェーン店は「すき家」や「幸楽苑」くらいで、最寄りのマクドナルドまでは車で1時間かかります。
③ 特別な買い物は「プチ旅行気分」
スーツやよそ行きの服、旅行カバン、スポーツ用品など、年に数回しか必要ない“特別な買い物”は、地方都市のショッピングモールまで足を伸ばします。移動時間は、片道60~90分が相場。つまり、1日がかりのイベントになります。
このレベルになると、飲食店も一気に選択肢が広がりますし、ちょっとした観光気分で楽しめるのも魅力のひとつ。お寿司を食べたり、話題のカフェに寄ってみたり、「買い物+外食」で充実した休日になることも多いです。
都市部と田舎、本当に“便利・不便”で片づけていい?
「車で1時間もかけて買い物って…不便すぎるでしょ!」と、都会に住んでいる方は思うかもしれません。でもちょっと待ってください。都市部でも、最寄駅から繁華街まで30分〜60分かけて移動していませんか?満員電車に揺られ、乗り換えしてようやくたどり着く……。それって、実は田舎の“車で1時間”とそう変わらないかもしれません。
田舎は確かに「選択肢の少なさ」は否めません。取り扱っている商品のバリエーションや価格帯の幅は、都会にはかないません。
でもその一方で、田舎ならではの“買い物の自由さ”もあるんです。
田舎の買い物、ここが良い!
田舎暮らしならではのメリットもたくさんあります。
- 車でまとめ買いができる
重いもの、大きいものでも気兼ねなく買えるのは大きな利点です。 - 駐車場が広い・無料
車社会だからこそ、買い物先の駐車場もストレスフリー。 - 移動時間が“自分の時間”になる
車の中では音楽を聴いたり、ラジオを楽しんだり。誰にも邪魔されないプライベート空間です。
ある意味、計画的に動く必要があるので、無駄な出費が減るという意外な効果が期待できる人もいるかもしれませんね。(ついつい買い込んでしまうパターンの方が多い気がしますが。)
まとめ:田舎の買い物は「不便」じゃなくて「スタイルの違い」
いかがでしたか?
田舎の買い物は「不便」か「便利」か、という単純な話ではありません。
都会の買い物スタイルとは全く異なるだけで、田舎には田舎なりのリズムと工夫があります。
もちろん、慣れるまでは戸惑うこともあります。ですが、それは新しい暮らしを楽しむ“ひとつの要素”でもあるのではないでしょうか。
田舎に移住を考えている方は、ぜひその地域の買い物環境を事前にリサーチしてみてください。そして、「この地域ならこの買い物スタイルでいけそうだな」と自分なりのイメージを持っておくと、移住後のギャップも少なくなるはずです。
“都会的な便利さ”だけで測らずに、田舎の買い物スタイルを前向きに楽しむ視点を持っていただけたらうれしいです。
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